BALNIBARBI RECRUITING 2018

バルニバービのナウをお届け!
2019.02.22 前回も大反響だったメシ通にて リバヨンアタックの料理長・ヒトオサのレシピ記事公開!! https://t.co/kWyVXdBTju

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食を通じてなりたい自分になるメディア

BALNIBARBI KEY PERSON

人と人とをつなげて新しい価値を生み出したい 株式会社トゥーコンパス代表取締役社長 原 世一

伊藤真美

バルニバービの各社代表や部門責任者の人となりや仕事に対するスタンスを紹介する「BALNIBARBI KEY PERSON」。
今回は株式会社トゥーコンパス代表取締役社長の原世一さんの登場です。
バルニバービ1号店である「Hamac de Paradis」を含む5店舗を束ね、飲食業の枠を超えた新たな事業にも精力的に取り組み、「楽しすぎて、休みの日にも店にきてしまう」と照れる笑顔はまるで少年のよう!そんな原さんの輝きの源泉を探ります。

夢を失って挫折。仕事は「食べるため」と思っていた

「バルニバービに入った時は、ゼロどころかマイナスからのスタートでした」

と、入社時について語る原さんは入社8年目。店長職に就いて7年、会社を任されて2年と順風満帆にキャリアを重ねている。しかし、バルニバービにアルバイトとして入社した頃は「スキルも経験も何も持っていませんでした」と振り返る。

「学生時代はサッカーに打ち込んで、プロも目指しましたが、結局なれずに大きな挫折を味わいました。諦めと同時に『食べるため』とメーカーに就職したのですが、当時は休日を楽しみに仕事をするという生活でしたね。仕事はあくまで仕事。好きとか嫌いとか、考えたことすらありませんでした」

しかし、そんなある日、リーマンショックの影響で同僚が早期退職を迫られ、『家族もいるのに!』ともめているところに出くわした。

「家族の生活や幸せをかけて仕事をしている人を押しのけてまで、自分がここに残る意味があるだろうか。そんなふうに考えたんです。ちょうど海外に出かけて、いろんな価値観に触れ、いろんな生き方があることを知った時期でもあったので、いっそ会社を辞めて『自分らしく、好きなことを仕事にしよう』と思いました」

大阪 南船場 CaféGARB

トレンチも知らないアルバイトからキャリアをスタート

「自分らしい仕事」とは何か。原さんは「人が好きで、人を楽しませることが好き」と自己分析する。それも間接的ではなく、ダイレクトに相手を喜ばせ、笑顔に出会えたら最高。そんな仕事を求める中で出会ったのが、大阪南船場の『CAFE GARB』のスタッフという仕事だった。

「『CAFE GARB』はすごく人気があって、とにかくかっこよかったんですよね。特に飲食にこだわったわけではないのですが、料理も音楽も空間もスタッフもすべて魅力的で、『人をハッピーにする場』であることに惹かれました。それでアルバイトとして入社したのが、26歳の時です」

26歳といえば、一般的には学校を卒業して数年経ち、後輩もできて仕事が面白くなってくる頃だ。しかし、原さんは大学生などに混じってアルバイト、それも経験のない飲食店、さらに店長は自分と同い年という状況。はじめは引け目や戸惑いを感じたという。

「トレンチがお盆だと知らないところからのスタートでしたから、いろいろ恥ずかしい思いもしました。でも、長年身をおいたサッカーの世界でも、年齢や経験は関係なくて実力がすべて。そして、チームで成果をあげるには、まずは自分ができることに集中するのが一番大切だということを思い出したんです」

失敗を恐れない背中に励まされ、試行錯誤を繰り返す

経験や社歴が関係ないとなれば、仕事の責任ややりがい、楽しさなどは与えられるものではなく、自分自身で育む必要がある。
そこで原さんはシフト以外でも勉強しに店に通い続けた。そして思いつくアイデアはどんどん試し、自ら率先して実行した。お客様の名前と顔は積極的に覚えて声をかけ、その人が好きそうなものを勧めたり、リクエストにも柔軟に応えた。店にかかっている音楽について聞かれて、その音楽をCDに入れてプレゼントしたこともあるという。

「思いついたことはなんでもやってみましたね。失敗も相当やらかしましたが、上手くいってお客様に喜んでもらえるとどんどん楽しくなって、つい毎日お店に来てしまうようになりました(笑)。そうなったのも、店長をはじめ、みんなのおかげです。当時の上司だったリョウさん(現・株式会社バルニバービ オーガストの代表取締役社長 田中 亮平)も『失敗してもいいからやってみろ』と言うし、本人たちも常に挑戦モードで失敗を恐れない。そんな背中を間近で見られたのが大きかったと思います」

先輩たちから刺激を受け、新入社員からフルスロットル!

アルバイトから1年半で社員に昇格。その前日に、“リョウさん”と連れ立って東京に出向き、「佐藤塾」に出席した。「佐藤塾」とは、バルニバービ代表取締役社長である佐藤裕久が直々に講義する勉強会だ。現在も、入社したばかりの社員から経営者クラスまで様々な集まりがあり、佐藤代表だけでなく、当時薫陶を受けた経営陣が講師となって「バルニバービイズム」を伝える場となっている。原さんもまた新入社員の会に参加するのだと思っていたところ、いきなり経営者が集まる会に参加することになった。

「わ〜!っと思いましたね。今考えれば、石倉さん、藤波さん、松城さん、オサムさんなど、今のバルニバービを支える錚々たるメンバーが勢揃い。その末席にちょこんと新入社員が入っているのに、皆さん温かく迎えてくださって。社長が今と全く変わらず『自らの道を拓き、仲間の道を拓く、そういう人であれ!!』と熱く語っていたのが印象的でした」

さらにその1ヶ月後にはニューヨークの社員研修に参加した。そこでも多くの先輩社員や経営陣と語り合い、様々な刺激を受けたという。誰もが仕事やサービスの前ではフラットであるというスタンスを保ち、それぞれ考えていることを立場や役職を気にすることなく、意見を交換し合えた。その自由な空気の中で、原さんはバルニバービでこそ、いっそう自分らしく働けると確信したそうだ。

「ニューヨークの飲食業界も熱いし、いろいろ勉強になったことは確かです。でも、それ以上にバルニバービのメンバーの熱さや人となりに触れたことが何よりの財産になったように思います。普通なら入社1ヶ月の社員をニューヨーク研修になんて出してくれないでしょう。機会を与えてくれた会社の懐の大きさを感じますし、それに応えたいと強く思いました」

NY研修中 左からGARB MONAQUE 中松シェフ、リョウさん(田中 亮平)、原

新店舗店長に抜擢!人について考え続け、店を成功に導く

社員となって半年後に同店の店長を引き継ぎ、その翌年にはニューオープンの大阪グランフロント「GARB MONAQUE」の店長に抜擢された。未経験のアルバイトからわずか2年半年という目まぐるしさで、大阪のランドマークにある新店の店長として腕を振るうことになったのである。業界では無名の新人店長ながら、開店とともに注目を集め、現在も感度の高い人々が集まる店として不動の人気を誇る。はたして、どのようにして店を成功に導いたのか。

「もともとは売上管理や人件費コントロールなど、経営についての特別な知識や経験もなかったですからね。先輩や経営陣のアドバイスをもらいながら、みんなに協力してもらったというのが、実際のところです。特に背中を押してくれた言葉として印象に残っているのが、代表の佐藤からの『誰よりもお店のことを考え、誰よりも目の前のお客様と仲間のことを必死に考えろ』というアドバイスです。そうしたら数字や結果は自然についてくるはずだと。それなら自分にもできるし、そもそも好きなことですからやり抜きたいと思いました。そして、とにかくひたすら“人”について考え続けて今に至ります」

とはいえ、アルバイトから社員、店長と責任が大きくなるのと同時に、仕事に対する熱量も高まり、時には周囲の人間が戸惑うこともあったという。

「自分の温度感で突っ走ってしまったことがたびたびありました。自分が楽しいと思うことは、みんなも同じように楽しいはず。そう思い込んでいたんです。だけど、人によって嬉しいと感じることは違うし、同じ熱量の情熱を持っていても表現の仕方が違う。ただ根っこの部分は同じ人間で、大抵のことは共感できる。だから人によって伝え方や対処法などを変えれば、どんな人とでも同じ目標や喜びを共有できると思いました。そう改めて気づけたのは、いろんな立場で失敗し、いろんな人と触れ合って様々な経験ができたからだと思います」

「思いやり」という意味をもたせた会社の代表に

現在、原さんは大阪地区の5店舗を運営する株式会社to-Compassの代表取締役を務める。いまも「人が好き」「人が喜ぶことをしたい」というスタンスは変わらず、社名に「人を思いやる心(Compassion)」を意味づけたのも、その初心を忘れないためだという。

「好きなことはそのまま強みになるし、続けるために苦手も克服できる原動力になることも実感しました。まだまだ今の自分に満足しているわけではありませんが、バルニバービの信念である『食を通じてなりたい自分になる』を実践しているという自負は強くもっています。to-Compassの代表になる時にも、佐藤代表に『どうや、原はなりたい自分になっているか?』と聞かれて、改めて会社に『ならせてもらう』という受け身ではなく、自分から『なる』という気持ちを持つことの大切さを再確認しました。代表になってますます『なりたい自分』になるために、さらに自分の好きな『人を喜ばせること』の可能性をいろいろと試したくなっています。サービスや接客、スタッフに対してはもちろん、食を通じて知り得た様々な方々とつながり、人と人をつなげることで新しい価値を提供できるのではないかと考えています」

そのひとつが、無農薬野菜や河内鴨、ワインなどの大阪近郊の生産者とお客様とをつなぐ企画だ。それぞれ個性豊かなストーリーや文化などを持ち、市場ではなかなか見られない稀有なものばかり。その魅力や価値を、お店を通じて「大阪のおいしいもの」として世の中に発信したいという。また、カジュアルアパレルブランドのアーバンリサーチとタイアップして、「スタッフが着たいユニフォーム」を実際にファッションに詳しいメンバーの意見を反映しながらデザイン/製造し、店舗での物販も予定している。なんとアーバンリサーチの方がお客様として来店されたことをきっかけにスタートしたプロジェクトだという。

to-Compassの取り組みやユニフォームなどについてはまた別の記事にて掲載予定。

「たぶん、『自分には何もない』という思いが今もあるんでしょうね。でも、人が輝く環境をつくったり、支援することは少しずつできるようになってきたという自信は生まれてきました。ある道を極めたプロの方には、お会いするだけでもパワーを貰いますし、そうしたプロとプロとつなげたらすごいことが生まれるのは間違いないという確信があるんです。そこに仲介役として関わることで、世の中の人を喜ばせるような価値を提供したいと考えています」

一人ひとり異なる強みを持って支え合うチームに

こうした原さんの「人を喜ばせたい」「人と人とをつなげて新しい価値を生み出したい」とする思いは、社内のスタッフに対しても同様に向けられている。会社の制度にも、スタッフを喜ばせようというユニークなものが見受けられる。たとえば500円でランチがいただける「ワンコインランチ」もよくある取り組みと思いきや、勤務店以外でも家族も含めて利用できる。また、週1回店舗に講師を招いての英会話教室や、日本ではまだ珍しいティースタンドの勉強会なども開催している。

「私が『こうしたら面白いかな』と提案するものもありますが、取り組みの多くはスタッフが意見を出し合って、決めたものがほとんどです。制度としてというより、雑談をしていて『やってみたい』『やってみよう』となることが多いですね。実施や運用も得意な人が知恵を出し合って行ないます。お店全体で最高のパフォーマンスをあげるには、苦手なことを我慢してやるより、むしろ『好きなこと得意なことを懸命にやろう』というスタンスです。そのうえで苦手な部分を補足し合えればいいなと思っています」

そうした考え方は、普段の業務だけでなく、キャリア構築においても反映されている。いわば役職や階級であがっていくピラミッド型ではなく、それぞれが異なる強みを発揮した、フラットでバリエーションに富んだ組織を目指そうというものだ。

to-Compass懇親会

「役職は役割でしかないですね。その上でそれぞれ自分らしく能力を発揮して役割をまっとうすることが重要だと思っています。サッカーもみんな同じ能力や役割じゃつまらないし、勝てない。それぞれ違う人が協力し合うことで強いチームになれると思うんです。だから、平日のみのウェディングプランナーがいたり、エンタメ好きでイベント企画のプロもいる。ミュージシャンを目指している店長もいますが、イベントで自らパフォーマンスをして大受けしていましたよ(笑)。なんなら自分で新しい職種を作ってもいいし、働き方も調整すればいい。そして、誰かの夢ややりたいことに協力し合う、そんな人たちの集まりでありたいと思います」

それはそのまま「求める人材像」にも当てはまる。原さん自身がそうであったように、未経験でも「ありたい自分」があれば、好きなことを懸命にやることで成長できる環境があるという。

「仕事は仕事と割り切る考え方もありますが、やっぱり自分が夢中になれることを仕事にした方が断然幸せだと思います。もし、それを目指すなら経験やスキルは二の次。自分の人生を自分らしく創り出そうという人を支援したいし、そういう人と仕事がしたいですね」

株式会社to-Compass 代表取締役社長 原 世一
大阪カフェガーブ店長、ガーブモナークの店長を経て、2016年より株式会社ワナビーの代表取締役社長に就任。2018年8月より、より想いを込めた「株式会社to-Compass」に社名変更。常に笑顔を絶やさず、誰よりも動き周りを気遣う姿を慕うスタッフは多い。好きなことをやり続けられる経営者を目指し、邁進中。

この記事を書いた人 & 編集後記

伊藤真美

様々な分野で活躍するライターさん。 「左党であり甘党。おいしいものの背景にある物語も大好物です。」

原さんの第一印象は、エネルギーの塊のような人。疾走感がありながら、どこかくつろがせてくれる温かさがありました。その熱量がじんわりと伝播し、周りを巻き込んでいくのでしょう。これからどんなことを仕掛けられるのか、ますます期待が高まります。「人を楽しませたい」という原さん本人が心の底から楽しみ、それがまた人を幸せにする。ハッピーなスパイラルはまだまだ続きそうです。